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2007年12月20日

政府・国交省の重大な責任

栗岡 成人(城北病院院長)

 世界ではタバコのために年間約500万人が死亡している。これは500人乗りのジャンボジェット機が毎日27機墜落し全員が死亡するのと同じである。01年に世界保健機関(WHO)、世界銀行は、20世紀中にタバコのために1億人が死亡し、21世紀には10億人が死亡すると発表した。

 このようなタバコによる莫大な損害を防ぐために、03年WHO初の国際条約である「タバコ規制枠組み条約」(FCTC)が締結され、05年2月に発効した。FCTCの目的は、「タバコの消費及びタバコの煙にさらされることが健康、社会、経済及び環境に及ぼす破壊的な影響から現在および将来の世代を保護する」ため、各国が国内外で実施すべき規制の枠組みを提供することである。世界的にタバコの消費を減らすことでタバコによる喫煙者、非喫煙者の被害を防ぐことができる。

 本年6月にはタイのバンコクで第二回締約国会議(COP2)が開催された。この会議では、FCTCの第8条(受動喫煙の防止)を実行するためのガイドラインが全会一致で採択された。ガイドラインには、「第8条は、すべての屋内の公衆の集まる場所、すべての屋内の職場、すべての公衆のための交通機関そして他の公衆の集まる場所を完全禁煙として『例外なき(受動喫煙からの)保護を実施する義務』を課している」と述べられている。また「受動喫煙からの保護は、職場として使用する自動車(たとえばタクシー、救急車、輸送車など)を含むすべての室内のあるいは囲まれた職場において実現されなければならない」とされている。

 日本政府は、2010年2月27日(FCTC発行後5年)までに日本国内で、公共の場及び職場の全面禁煙の法的措置を進める責務がある。そうでなければ、タバコ対策において日本は世界の孤児になるであろう。ガイドラインにも「受動喫煙から市民の健康を守るには、自主規制でなく、法律が必要であり、かつ法的規制は単純明快で施行可能なものにする必要がある」と明記されている。タクシーについても法律による車内禁煙が最も簡単かつ有効な方法である。

 国土交通省は、一貫してタクシー業界の自主規制に任せてきた。むしろタクシー車内での喫煙を、乗客サービスとして容認してきた。受動喫煙被害の重要性に鑑みると、これは行政機関としての責任放棄である。日本政府はFCTCを批准しており、政府の機関である国交省が国際条約を守るのは当然の責務である。

 水俣病、薬害エイズ事件、アスベスト問題など行政の不作為が結果として重大な健康被害を起こし、多数の犠牲者を出したことを忘れてはならない。今現在もタバコによる犠牲者は次々と出ているのである。

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