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2007年11月12日

タクシー値上げを考える2

関 幸子(地域産業おこしに燃える人の会幹事長)

 最近大阪に出かけたおりに、タクシーの運転手さんに「おいしいご飯たべるところ教えて」と聞いたら、「実は1カ月前に、大阪に戻ってきて、タクシー運転手始めたばかりで、知らないんです」という。「赤坂で通信系の企業に勤めていたんですが、リストラされたんで思い切って大阪に戻ってきたんです。少し運転手をやって、その後は、また新たな就職先を見つける予定です」という。「長くはやらないの」と聞くと、「タクシー運転手はつなぎですから」という。仕事に興味を持っていないなら、町の情報にも無関心なのにも頷ける。

 日本の人口は2005年をピークに減少し始めている。統計では、毎年約80万人が減少していく計算で、数字からみれば、島根県、鳥取県が毎年消滅していく。加えて、人口構成も大きく変化しており、団塊世代が2007年から60歳を迎え、2025年には4人に1人が高齢者となる見込みである。少子化もあって、既に定年人口と新社会人人口が逆転してきており、どの産業でも人材不足が顕著になってきている。

 こうした人口構造が大きく変化する中で、タクシー業界を人材の面から俯瞰すると、運転手の高齢化は大きな課題と言えよう。今のままだと、ある時期に、一気にベテランの優秀な運転手がいなくなってしまう。バランスの取れた年齢構成となるような採用方針が大切であり、魅力ある安心安全なタクシーを作っていくには、健康で優秀な若い人材の参入と確保が絶対的に必要となっている。

 大阪の運転手だけが見本ではないが、タクシー運転手に成りたいという積極的な就業動機よりは、その選択しかないという消去法の中で、選択しているケースが多いように思える。

 生産労働人口減少時代を迎え、タクシー業界として、優秀な人材確保を行なうには、「タクシー運転手になりたい」と言わせる魅力的な労働環境の整備が不可欠となっている。労働条件を改善するには、現在の歩合性賃金だけではなく、柔軟な諸制度を構築するとともに大胆な発想や経営方針の転換もまた重要となろう。

 加えて、タクシー運転手への職業観を変えることが必要かもしれない。フランスのリュック・ベッソン監督の「TAXi(タクシー)」という映画がある。この映画では、主人公の若い個人タクシーの運転手がフランス警察と協力して、事件を解決するという痛快なアクション・ラブストーリーである。この映画を見るとタクシー運転手って「かっこいいじゃない」というイメージが作られている。制度議論も大切だが、もっと顔の見える人間のヒーローも必要ではないだろうか。日本のカッコイイ、タクシー運転手も見てみたい。

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