論点・視点
今号の論点・視点の全文
2007年11月5日
多田氏の“越前大仏”はどこへゆく
“越前大仏”と言えば相互タクシーの故多田清社長が建立した日本一背の高い大仏さんだ、ぐらいは多くの人が知っている。建立前に記者は、故郷に寄付をする多田氏に誘われ勝山市を訪れたことがある。
その“越前大仏”のある清大寺の五重塔や大講堂が宅地、山林約3万4000uとともに市民税、固定資産税など約40億円の滞納で勝山市に差し押さえられ、11月16日から公売にかけられる。市の見積価額は35億円。入札希望者は11月27日までに保証金3億5000万円を市指定の銀行口座に振り込まねばならない。
多田清氏の名前から一字をとって名付けられた清大寺は、越前地方の観光名所にしようと1987年に約385億円の巨費を投じて建立されたが宗教法人の認可が下りず、相互タクシーの子会社、相互不動産が所有管理。ピーク時には諸税合わせて年間約26億円を納税していたという。
20年以上前の話。奈良の東大寺の大仏さんよりでっかい日本一の大仏を、生まれ故郷に造るという話を多田氏本人から聞かされて記者は「いかにも立志伝中の人らしき構想だな」と内心反対ながらも感嘆させられたことを、昨日のように思い出す。
清大寺の一角とはいえ五重塔、大講堂と宅地、山林などが多田氏一族以外の所有となれば、寺院組織の崩壊にもつながりかねない。そうなれば、“越前大仏”はもちろん泉下の多田氏も泣くことになる。
片田舎から裸一貫で大阪に出てきて巨万の富を築いた多田清氏が郷里に錦を飾った“越前大仏”。今後の成り行きはタクシー全業界人の関心事だろう。
<植田>
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