回転木馬
今号のリレーコラム・回転木馬の全文
2007年10月4日
1000人の村 新庄村
関 幸子(地域産業おこしに燃える人の会幹事長)
現在、日本にどのくらいの市町村があるかご存知だろうか。以前は3234あったものが、市町村合併特例法(1995年)によって、全国各地で合併が奨励され、2007年8月現在で、1804にまで減少してきている。特に2571あった町と村が、1020と半減少し、小規模町村が極端に減少してきている。
こうした、平成の合併の嵐の中で、自ら独自の道を歩みだした人口1000人の村がある。その小さな村が岡山県新庄村である。新庄村は、明治5年の村政施行より一度も合併したことがなく、130年のずっと村として存続し続けてきた。周りの市町村が合併する中で、「小さくても自主自立の村を目指す」という新庄村宣言を行い、勇気ある道を選択した。
もともと新庄村は、岡山県北に位置し、旧出雲街道随一の難所、四十曲峠の麓の「新庄宿」として繁栄してきた。本陣、脇本陣をはじめ木造の歴史的建造物が数多く残り、日露戦争の戦勝を記念して植えられた凱旋桜は、現在も出雲街道の沿道にその美しい姿を咲かせている。この新庄村が今、果敢な挑戦を始めている。一つが、財政基盤を作るための特産品の開発である。夏の昼と夜の温度差が大きいこと、旭川の源流であるブナの原生林「毛無山(けなしやま)」一帯から湧き出る清流を使って「ヒメノモチ」を村内全域で生産している。そのもち米から、複数のもちの加工品「ひめの餅」やおかき、清酒を作り、岡山県のスーパー等で販売し、経済的な自立を目指している。
もう一方で、毛無山を中心とする標高1000m級の山々の豊かな自然を生かした森林浴、セラピー事業などによる観光客誘致や、村営住宅や村営団地の開発によって定住人口の増加など、減少していく人口に歯止めをかけようとしている。
しかしながら、村の高齢化率はすでに37%を超え、村役場職員は、1人ひとりの顔の見える関係の中で、午前9時から午後5時の勤務時間、そして課や係りの枠を超え、村の存続と運営に欠かせない日常の農業や冠婚葬祭に走りまわっている。
もちろん、ここでは、タクシーもなくバスも1日6本で、1人1台の自家用車をもって、交通手段となっている。しかしながら、この高齢化の中で、いつまで自分で運転できるのか。息子や娘などの後継者がいればいいが、独居老人の世帯が多くなる中で、自らの移動手段を確保することは、生活上で最も重要なライフラインとなっている。
新庄村や同じような地域でも、地域経済の自立、人口減少を食い止める作戦だけでなく、自らの足の確保も重要になってきている。交通機関や交通会社は、都心ばかりでなくもっと地域にも関心を注いでほしいものだ。
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