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2007年9月24日

タクシー車内の受動喫煙

栗岡 成人(城北病院院長)

 タクシー車内での喫煙は、タバコの臭いによる不快感や臭いが衣服へ染み付くだけでなく、残留化学物質により気分不良や、のどの痛みなどを引き起こし、さらに喘息や心臓発作を起こす可能性も否定できない。タクシー車内のタバコ臭で気分が悪くなったり、残留化学物質で喘息発作を起こしたりするため禁煙タクシー以外には乗らないという人も少なくない。

 乗務員の受動喫煙被害はさらに深刻である。受動喫煙は一瞬でも気管支喘息発作、狭心症、脳卒中などの重大な病気を引き起こす恐れがあるし、タバコの煙に含まれる発がん物質には放射線同様閾値(許容値)が存在しない。WHO(世界保健機構)は、受動喫煙に安全なレベルはないと言明している。窓を閉め切ったタクシー車内で乗客1人がタバコを吸うと、車内の粉じん濃度が、甘いと言われる国の環境基準の12倍にもなり、1時間以上元に戻らないことが確かめられている。

 そしてタクシー車内での受動喫煙による乗務員の心筋梗塞やがん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、健康上の危険が明らかになっている。東京タクシーセンターに対して訴訟を起こした東京の安井幸一さんは、自らはタバコを1本も吸わないにもかかわらず、長年のタクシー乗務による受動喫煙で心筋梗塞を起こし、さらには喉頭がんになり、現在闘病中である。タクシー乗務員が車内で受動喫煙を浴びるのはまさに労働災害である。

 健康増進法第25条には、多数の者が利用する施設管理者は、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならないと定められており、厚生労働省はタクシーも対象施設に含まれると通知している。そしてタクシー訴訟判決(平成17年12月20日東京地裁)では、「タクシー車内における乗客の喫煙による乗務員の健康への影響は看過しがたい」「タクシー事業者としては、タクシー乗務員に対し受動喫煙の危険性から生命及び健康を保護するよう配慮すべき安全配慮義務を負っており、その義務を尽くすためには、禁煙タクシーの導入及び普及を図ることが望ましい」「利用者の立場からもタクシーの全面禁煙化が望ましい」と指摘している。

 2008年に開催されるサミットでは、主要国の首脳や多数の政府関係者、報道関係者などが日本を訪れることが予想される。海外では、例えばイギリス、アメリカ、フランス、カナダ、オーストラリア、イタリア、中国、台湾、韓国、タイなど多くの国はタクシー車内での喫煙を禁じている。日本のタクシーが全面禁煙化を早急に実現して、内外のオピニオンリーダーに対し恥ずかしくない、世界に誇れる安心・安全・快適な乗り物となるよう切に希望する。

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