回転木馬
今号のリレーコラム・回転木馬の全文
2007年9月10日
タクシー禁煙化の潮流
栗岡 成人(城北病院院長)
全国各地で、タクシー全面禁煙化の動きが広がっている。5月1日から名古屋地区で、6月から長野県、大分県で、7月11日から神奈川県で、そして8月5日からは静岡県でタクシーの全面禁煙がスタートした。愛知県全県や、山梨、富山、千葉、岐阜、石川なども禁煙化が予定されている。さらに8月4日には3万4000台を有する東京乗用旅客自動車協会が来年1月からの全面禁煙化を決定し、タクシー全面禁煙化の流れはもはや押しとどめることのできないものになった。
つい1年前には禁煙タクシーは全タクシーのわずか3%であったが、この様子では来年1月には禁煙タクシーが10万台を超え、全タクシーの40%を上回るだろうと予測されている。
なぜ、今怒濤のようなタクシー全面禁煙化の動きが起こってきたのか。これはWHO(世界保健機構)のタバコ規制枠組み条約(FCTC)発効を始めとした受動喫煙防止の世界的潮流と、タクシーを安全、安心、快適な公共交通機関にしたいと願ってきたタクシーの利用者、乗務員の積年の努力によるところが大きい。そしてタクシー全面禁煙化は、何よりもタクシー乗務員の命と健康を守るために火急の課題なのである。
喫煙が、がんや心臓病、呼吸器病などあらゆる臓器に多くの病気を引き起こすことは、数多くのデータで明らかにされているが、他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙でも想像以上に多くの人々の命が失われている。日本における交通事故による死亡者数は年間約6000〜7000人(警察庁)であるが、受動喫煙による犠牲者はその3倍以上、年間約1万9000人(国立がんセンター)に上ると推定されている。そのため、海外ではもちろん、日本でも03年5月に健康増進法第25条により受動喫煙防止が定められて以降、公共の場所や職場が次々と禁煙になっている。
公共交通機関も例外ではない。公共交通機関においては以前より喫煙規制が行われていて、飛行機、電車、地下鉄、バスなど、すでにほとんどの交通機関は全面禁煙になっている。また新幹線や長距離鉄道も次々に禁煙化が拡大している。ひとりタクシーのみが喫煙自由という状況であった。
タクシーは、もちろん重要な公共交通機関のひとつだが、とりわけタクシーは高齢者、病弱者、障害者、妊婦、子どもなど弱者が利用することの多い乗り物だ。そしてこれらの人々は、たばこの煙に弱く、受動喫煙による健康被害をより受けやすい。そしてタクシーのような狭い閉鎖空間での受動喫煙の被害はより重大である。
タクシー車内こそ、まず第一に禁煙化する必要があったのだ。
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