回転木馬
今号のリレーコラム・回転木馬の全文
2005年12月15日
「有償」には違和感
四方 源太郎(NPO法人あやべ福祉フロンティア副理事長)
私たちが1998年ごろに福祉移送サービスを始めたとき、国土交通省の許可を受けて事業をするなんて考えもしなかった。
道路運送法という法律があることはもちろん知っていた。一応、目を通すことは通したが、自分たちのやろうとしていることとその法律は関係がないと考えていたし、いまでもそう思っている。
国交省というより、厚生労働省の管轄ではないのか? 綾部市からの委託事業ももともとは厚労省の補助金によって行われていたものであった。
日本国憲法第25条を読んでほしい。第1項に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と生存権が規定されており、第2項には「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」という国の生存保障義務が定められている。
病気になっても病院に行くことができない人がいるのに、フロンティアの活動が道路運送法違反だと言うのなら、高齢者や障害者の生存権、その方々への国の生存保障義務はどうなるのか?
うちの理事長とは「僕らが逮捕されるまではやりましょう。もし逮捕するのなら、代わりの方法を国に考えろと言えるはずだ」と話して活動をスタートさせた。
国の力に頼ろうとせずに、住民の助け合いでこれを解決しようとする活動を道路運送法が規制するのであれば、道路運送法自体が違憲立法ではないかと思う。
活動するには経費が必要だ。ガソリン代と通信費程度の実費は必要経費であり、これは運転ボランティアの手元には残らない。しかし、国交省は「1円でも受け取れば有償」とナンセンスな見解を示す。
私たちの活動では、綾部市内での移動の場合、最初の5kmが300円で、5km増すごとに100円を利用者から運営協力費としていただいている。
5kmといっても利用者の家から目的地までの距離のことなので、運転ボランティアはその倍は走っている。10km100円であり、それはガソリン代として消えていくものだ。これを「有償移送」と言われることには違和感があり、激しく抵抗を感じる。もっと違う言葉があるのではないか。
しかし、そう文句を言っているだけでは進歩がない。いまの活動を維持しながらさらに安定させていくために、運営協議会を綾部市に立ち上げてもらい、その中で正式に許可を受けて活動していくことも必要なことだと思っている。
各地で立ち上がっている運営協議会もなかなか話がまとまっていないようだが、ゴチャゴチャしながらも結局は1つの方向が見えてくるんだろう。
福祉の課題は他人事ではない。結局は自分達に跳ね返ってくることなんだから。
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