回転木馬
今号のリレーコラム・回転木馬の全文
2005年10月10日
お金の奴隷になった
四方 源太郎(NPO法人あやべ福祉フロンティア副理事長)
あやべ福祉フロンティアの移送サービスでは、地域通貨ゆーらを利用者から受け取ることがある。
地域通貨とは、限られた地域や仲間うちで流通する「お金」のようなものだ。1ゆーらが100円相当で、現在130万円分ほどが出回っている。綾部市を流れる「由良川」から名付けられている。協力店・企業では代金の一部として使えたり、個人間でのお礼などに使われている。
地域通貨の概念を考えたのは、ドイツの経済学者シルビオ・ゲゼル。20世紀初頭、大恐慌の頃である。ゲゼルは、自然界に存在する「物」が時間の経過と共に価値を失うのに対し、「お金」だけが価値を失わず、むしろ利子がついて価値を上げていることに注目した。そして、これがお金にまつわるさまざまな問題を引き起こしていると考えたのである。
これに共鳴したのがオーストリアのヴェルグル市で、独自のゲゼル通貨を発行した。これは1カ月経つと、券面額の10分の1の切手を張らなければならず、1カ月に1割ずつ価値が下がり、やがてはなくなってしまうというものであった。
市は公共事業や市職員の給料支払いに、この通貨を使った。すると人々は競ってお金を使い始めた。デフレに陥っていた経済は復興し、失業率はどんどん下がっていった。
1年も経たないうちに、「通貨発行は国家の権利である」とオーストリア政府の「待った!」がかかった。政府は求心力の低下を恐れた。ゲゼル理論の「実験」はこうして終わった。
この後、マルクス理論と反マルクス理論との争いが最近まで続く。経済学者ケインズは著書の中でこう書いている。「後世の人々はマルクスよりもむしろゲゼルの理論を必要とするだろう」。ケインズはマルクス理論が、結局は資本主義理論でしかないことを指摘していた。「資本主義を国家が担うのが《社会主義経済》であり、個人に任せるのが《自由主義経済》である」と。どちらも矛盾をはらんでいる。
矛盾の根本原因が「利子の存在」である。利子は、現実通貨量と仮想通貨量の差をどんどん開いていく。これを埋めるために人々は、発展途上国の民を搾取し、最後は地球資源を奪い破壊している。
皆さんのご家庭では、支払利子と受取利子のどちらが多いだろうか? 支払利子とはローンやリースの利息のことで、受取利子は貯金の利息などだ。おそらく支払利子の方が多いはずだ。利子がなくなると、ほとんどの人が実は得をする。多くの人が働いて、一部の人の利益を生み出しているのが現代社会の構図だ。
人間は自ら作ったお金の奴隷になった。経済は本来、節約である。投機が経済であると錯覚させた似非エコノミストの言葉には惑わされないようにしたい。
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