回転木馬
今号のリレーコラム・回転木馬の全文
2005年9月8日
地域の悩みは地域で解決を
四方 源太郎(NPO法人あやべ福祉フロンティア副理事長)
京都府綾部市は人口3万8000人、面積347ku。ほぼ8割が山林で過疎高齢化が進む典型的な「田舎町」だ。ここに、あやべ福祉フロンティアを設立して6年目になる。ボランティアによる移送サービスを利用する高齢者・障害者の会員は約1500人。年間延べ4万人超の利用がある。
綾部市は広い。市街地にある市立病院までタクシーを使うと片道で約1万円かかる地域もある。農村部の高齢者は基礎年金4万円程度で暮らしている方もあり、風邪をひいたくらいでタクシーを使っていたら、とても生活できない。
活動を始めてまもなく、Aさん(80代女性)を送迎した。その数週間前にAさんは自宅で瀕死の状態になり、偶然訪ねたヘルパーさんによって救助された。風邪をひいたが病院に行かずにコタツで寝ていて、足を低温ヤケドしたという。身体は衰弱し、発見が遅ければ最悪の事態となっていただろう。
Aさんの息子さんは障害者で、当時やっと就職が決まったところだった。遅刻や早退をさせると解雇されるのではという不安があり「病院に連れていって」とは頼めなかったという。「息子に迷惑かけるくらいなら、このまま……」と思っておられたというが、病院に送迎し、きちんと治療を受けた結果、翌春には畑仕事ができるまでに回復された。福祉移送サービスは人の命を救う活動なんだなあと気持ちが引き締まった。
私たちはタクシーと競争しているのではない。タクシーに乗れる方には、そちらに乗ってもらうようお願いしている。それでも会員は口コミで広がった(広がってしまった)。
利用者からはガソリン代などの実費を運営協力費としていただいている。タクシー運賃に比べると当然安い。それが「営業妨害だ!」と、批判されることにつながっているのも承知している。しかし、目の前にある「地域の悩み」を放っておくわけにもいかない。何か他の方法があるのなら、いつでもこの事業から手を引くつもりだが、活動を止めれば病院に通わずに自宅で亡くなる人が増えるのではないか? 外に出られずに、認知症が進む人が増えるのではないか? いまは止められない。
小さな政府⇒地方分権⇒自己責任の時代となる。国の言われる通りに黙って従っていれば、つつがなく過ごせた時代は終わりつつある。
以前、京都運輸支局に電話して「これが法律違反なら、そう言って下さい。それなら活動を止めますから」と尋ねた。「止められたら、いま運んでおられる方々が困られるのではないですか?」と逆に諭された。「じゃあ、どうしたら?」という問いへの答えはなかった。
国の羅針盤はすでに方向を示せず、くるくる回っているんだなあと感じた。
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