●対談前説/植田 耕二(トラモンド社論説主幹)
先代の澤巌氏、先々代の澤春蔵氏とはよく話をしたし、また酒をともに飲み交わしたものだが、澤志郎氏とはまとまった話をしたのは、これが初めてのように思う。
氏が京都大学を卒業し住友商事か、どこかの商事会社に入った後、日本交通大阪本社に入社したのは1979年。以来約30年、鳥取、大阪、京都、和歌山の関係会社約20社の経営トップとして文字通り東奔西走の毎日、当方もいろいろ社内事情があり、ゆっくり膝を交え話し合う機会がなかった。
2年前、氏は京都北部の郡部で京聯自動車の元オーナー・川本直水氏の残した京都交通とその関係会社を買収。グループの企業規模をさらに大きくした、その積極姿勢と経営手腕には記者ならずとも注目せざるを得ないところだ。
役員改選期を迎えた大タ協は、三木源一郎氏が会長職を辞任するとみられ、次期会長候補の1人に澤氏の名前が挙がっていることもあり、この対談もそれに連動する形で突然、浮上したものである。
氏は記者の問いに対し、自らの会長就任の意欲はみじんも見せず「相互タクシーの小野幸親さんなんかが良いじゃない。会社の事業規模、歴史などからいってもご立派。現役の副会長ですよ」と語った。少々のことでは驚かない記者も、この発言には“ビックリ仰天”させられた。氏の本気か、冗談かは読者のご想像に任せるとして、とにもかくにも愉快な対談だった。澤さん、ありがとう。
先代の澤巌氏、先々代の澤春蔵氏とはよく話をしたし、また酒をともに飲み交わしたものだが、澤志郎氏とはまとまった話をしたのは、これが初めてのように思う。
氏が京都大学を卒業し住友商事か、どこかの商事会社に入った後、日本交通大阪本社に入社したのは1979年。以来約30年、鳥取、大阪、京都、和歌山の関係会社約20社の経営トップとして文字通り東奔西走の毎日、当方もいろいろ社内事情があり、ゆっくり膝を交え話し合う機会がなかった。
2年前、氏は京都北部の郡部で京聯自動車の元オーナー・川本直水氏の残した京都交通とその関係会社を買収。グループの企業規模をさらに大きくした、その積極姿勢と経営手腕には記者ならずとも注目せざるを得ないところだ。
役員改選期を迎えた大タ協は、三木源一郎氏が会長職を辞任するとみられ、次期会長候補の1人に澤氏の名前が挙がっていることもあり、この対談もそれに連動する形で突然、浮上したものである。
氏は記者の問いに対し、自らの会長就任の意欲はみじんも見せず「相互タクシーの小野幸親さんなんかが良いじゃない。会社の事業規模、歴史などからいってもご立派。現役の副会長ですよ」と語った。少々のことでは驚かない記者も、この発言には“ビックリ仰天”させられた。氏の本気か、冗談かは読者のご想像に任せるとして、とにもかくにも愉快な対談だった。澤さん、ありがとう。
運賃値上げは矛盾してる
――大阪では過去2回の運賃改定申請が失敗に終わりました。まず、その原因はどこにあるとお考えですか。
澤 初乗り500円のワンコインタクシーが増えているということは、業界全体の運賃が下がっているということ。マーケットの実勢価格が下がっている時に運賃を上げるというのは矛盾でしょ。それに尽きます。
――申請時には、会員事業者からも、三木源一郎会長をはじめとする大タ協執行部は汗をかいていない、三菱タクシーグループなど低運賃事業者の説得に回っていない、といった批判がありました。
澤 三菱タクシーグループ(笹井良則代表)が説得に応じると思っている人なんて、誰もいないでしょう。独特の考えがあって商売されているのですから、それを曲げなさいというのは変な話。無理がある。
――値上げは無理でしょうか。
澤 しかし、三菱の懐が分からないので、どうか分からない。いつか変心するかもしれないですし、それは誰にも分からない。
――同じく低運賃で町野勝康氏が代表を務める新日本グループのワンコインタクシーが増えています。
澤 中がどうなっているのか分からないが、何というか、面白い。
生産手段を持っているのは資本家で、労働者が提供できるのは自分の汗だけ、というのが一般的な考え方ですが、ワンコインタクシーの企業内個人タクシーの場合、労働者であるにもかかわらず資本家と合体して生産手段を持っている。いったん生産手段を持ってしまうと、「これでいいのかな」と思っても、なかなか抜け出せない。変なシステムをつくったものだと思います。
だから、これは単なる名義貸し以上のような気がします。「行きはよいよい、帰りは怖い」というか。会社を辞めるのは簡単ですが、自分が生産手段を得るために借金した場合やリース契約が残っている場合は簡単に止められないでしょうね。
だから、これは単なる名義貸し以上のような気がします。「行きはよいよい、帰りは怖い」というか。会社を辞めるのは簡単ですが、自分が生産手段を得るために借金した場合やリース契約が残っている場合は簡単に止められないでしょうね。
大阪以外も近畿はひどい
――関東地方や中部地方の事業者からは「大阪のようになったらおしまい」と批判されます。三木執行部はこれを解決できなかったわけですが。
澤 近畿地方を見た場合、大阪がひどいといわれますが、和歌山や兵庫、京都は大阪より状況が良いといえるでしょうか。兵庫は地震があって、まだまだ痛みが残っている。京都は低運賃のエムケイのおかげで、ぐちゃぐちゃになっています。
いろいろな意味で、近畿圏全体が“実験”をしている状態。でも、何とかやっている。普通だったらやっていけないくらい、大阪に限らず、近畿の状況はすさまじい。
いろいろな意味で、近畿圏全体が“実験”をしている状態。でも、何とかやっている。普通だったらやっていけないくらい、大阪に限らず、近畿の状況はすさまじい。
――では、現状の大阪の混乱状況について、三木会長に特別な責任があるとは思ってらっしゃらない。
澤 こんなたくさん、多彩なプレーヤーがいる中で、何かを事業者団体に求めること自体がおかしい。無い物ねだりです。チルチルミチルの「青い鳥」の話のように、実際にいないものを求めている気がします。
――三木会長は、小野幸親氏(相互タクシー社長)を副会長にしたり、坂本克己氏(日本タクシー会長)を抱き込んで体制固めをうまくやっていますが、部落解放同盟や財団法人大阪同和産業振興会・新大阪タクシー事業局から“除名処分”を受けており、事業者ではなくなっています。問題ではありませんか。
澤 三木会長の事情については、わたしは理事会に出ていないからよく知らない。三木会長は存在感があっていいんじゃないですか。
――部落解放同盟などがバックにあったからこそ、市や行政当局に対して存在感がありましたが、今は存在感が薄れてきたのではありませんか。


